【連載】「酒と燻製に呑まれた男の記録」 第2回 <特製レシピ付き>

 縁あって、ゴールデンウィーク中にハイキングに誘っていただいた。参加者が左党ばかりで、「奥多摩方面へ普通にハイキング!」ではなく……。山頂付近の休憩スペースでランチ(アルコール含む!)を楽しむというすてきな企画。これはぜひ参加せねば。

 都会の喧騒を離れて新緑の野山をハイキング。昼食に持参した日本酒で燻製をがぶり。そこには都会では味わえない開放感とうまさがある。

チキンソーセージ燻製

 今年のゴールデンウィークは空前の10連休だった。しかし、長い休みに何をして過ごそうか。こういう時期はどこに行くのにも高いし混むし……、なんて悩んでいるうちにあれよあれよと4月後半となり、結局ほとんど予定が立たなかった。

 「よし、業務に使う英語とプログラムの勉強でもするか」と、意識の高いことを決意した頃に、わん酒ライターのスズコウさんから「奥多摩にハイキングに行くんですが来ませんか? もちろんお酒を持ち寄って山で呑みます!」と誘っていただいたので、ありがたく参加することに。

 「それなら時間もあるし、なにか作ったことのない燻製を用意せねば!」と考えた結果、ソーセージを作って燻製で仕上げることに決めた。

 ソーセージといえば通常は豚だろうが、今回は鶏ひき肉をチョイス。要は「ひき肉に塩を入れて粘りが出るまでこねて、ソーセージ状に成形して火を通したもの」が作りたいだけなのだ。それに、日本酒との合わせやすさや値段を鑑みるとこのチョイスに。同じ鶏肉の「ササミ燻製」はつまみの定番だし、間違いないであろう。

 また、市販のソーセージのように羊の腸に詰めるとなると、まず材料を買ってくるところからして難儀なので、ラップで包んで皮なしソーセージとする。

下準備① タネを作る

<皮なしソーセージ レシピ>

鶏ひき肉 2.2キロ
玉ねぎ  1個  ※香味野菜として
にんにく 1片  ※香味野菜として
クレイジーソルト 適宜(調味料)
かたくり粉    適宜(つなぎ)
オリーブオイル  適宜(つなぎ)

※香味野菜は家にあるもので良い(無くてもOK)。

 玉ねぎとにんにくをミキサーにかけて、ボウルで鶏ひき肉と混ぜ合わせ、クレイジーソルトを振り入れながらこねる。さらに、ハンバーグのタネくらいになるまで片栗粉とオリーブオイルを適宜投入しつつひたすらこねる。このときポリエチレンの手袋でもみ込むと手が汚れなくて楽ちん。

ソーセージのタネ
ソーセージのタネ

下準備② ラップでタネを包む

 ソーセージのタネができたら、いよいよソーセージ状に成形する。ラップを平らに広げ、タネを直線状に盛ったら棒状に巻き、両端をひねる。初めのうちは慣れなかったが、4本5本と作るうちにコツが分かってきた。端を持って振り回すと早い。気をつける点としては、巻く際に空気を入れないようにすること。

 しかし2.2kg以上のタネがあると、いくら巻けども、巻けども、いっこうに終わらない……。最終的に22本になった。つまり1本約100gになるということがわかったので、次は半分くらいにしておこう。

タネ成形前
タネ成形前

下準備③ 一次加熱

 タネを成形できたら、次は火を通す。腸詰めならボイルがいいのだろうが、参考にしたいくつかのレシピによると、ラップの場合は蒸すか電子レンジの方がいいようだ(ラップだと密閉性が低いからボイルにむかないんだな、多分)。

 蒸し器を出すのが面倒くさいのと、この量だとそもそも手持ちの蒸し器に一度には入らないので、電子レンジにかけることにした。ところが、後の展開を考えると、どちらにせよ小分けにしなきゃだめだった。様子を見ながら5分ほど600ワットの電子レンジにかけてみたが、場所によってムラがありすぎる。結局、何回かに分けてチンすることになった。

 ちなみに、レシピを調べていたらチキンソーセージは離乳食として作られていることを知った。その場合はこれで完成。この段階で味見してみたが確かに優しい味でこれはこれでおいしい。しかし今回は酒飲みの大人向けなので、これをさらに燻製にする。

一次加熱後
一次加熱後

下準備④ 燻製

 22本もあると、いつもの大型燻製器3段が一杯に。今回は最初から火が通っているので熱燻にする。ベーシックに桜チップで30分。

※熱燻:80度以上で燻す燻製を熱燻と呼ぶ(60度~80度なら温燻)。燻製と同時に食材に火を通す事ができ、燻製時間も短く済むかわり、温燻に比べ保存性は落ちる。

燻製前
今回も登場、燻製器(燻製前)

 あらかじめ火は通っているので、香りさえ付けば良い。さっと完成。

燻製後
こんがり~(燻製後)

下準備⑤ 完成

 粗熱が取れたら、いつものようにバキュームシーラーでパッケージング。

パッケージングしたソーセージ
いつも作っている燻製と違って、大きさが揃っているので密着感がある

都下の山でハイキング

御嶽駅? 御嶽山駅?

 ここまでがハイキング前日の夜。調理に荷作りにと、諸々の準備を終えてだいぶ遅くなってしまったが、明日は朝8時に「御嶽駅(みたけえき)」に集合とのこと。寝る前に、念のため地図アプリで行き方を確認したところ……。「御嶽」で検索し、最初に出てきた駅が東急池上線の「御嶽山駅(おんたけさんえき)/東京都大田区」だった。危うく、「青梅(おうめ)」と「青海(あおうみ)」の間違いのように、本来の目的地とは50キロも離れた駅に行くところだった。

 集合場所の御嶽駅は、東京都青梅市御岳本町にある、JR東日本・青梅線の駅である。筆者は、新宿駅から中央線を利用するルートにした。新宿駅を6時半に発車する早朝の電車にもかかわらず、車内は大混雑。新宿駅から乗るメンバーと他の駅から乗るメンバーがいたため、立川駅で落ち合う予定だった。しかし、車内移動がままならない程の混み具合だったので、集合場所を現地に変更した。これでは、山の混み具合が思いやられる。

 御嶽駅で無事に集合を果たし、喜びもつかの間、次はケーブルカー乗り場までバスで移動。このバスも満員。

 10分ほど揺られてバスを降車。そして、急傾斜の坂を登って御岳山ケーブルカー「滝本駅」に到着。けれども、ここでも行列。健脚なら徒歩でも山頂を目指せるが、本日の目的は「楽しくハイキングして、おいしい空気の下でプチ宴会」なので、おとなしく行列に並ぶ。ケーブルカーの斜度は平均22度、最高25度。写真を見るだけでも急勾配ぶりは伝わるはず。これを徒歩で登ったらとても気軽にハイキングとは行くまい。

御岳山ケーブルカー滝本駅
御岳山ケーブルカー滝本駅

令和初詣

 行列は長く見えたが蛇行のない二列だったので、思ったより早く駅構内に入場でき、ケーブルカーに乗る。そして、終点「御岳山駅」へ。そこから山頂までは徒歩。まずは、犬の神様である「武蔵御嶽神社」を目指す。この道中は道が舗装されていて、比較的歩きやすい。それでも傾斜があって運動不足の身にはこたえる。神社に到着すると、参拝客が階段に行列を作っている。「なんだろう?」と思ったが、この日は令和になった直後。初詣だったんだな。

令和初詣でにぎわう武蔵御嶽神社
令和初詣でにぎわう武蔵御嶽神社

ロックガーデン

 参拝後は、「ロックガーデン」に向かうハイキングコースを歩く。新緑と水のせせらぎの音が気持ち良い。舗装された道でこそないが天気もよく、地面の状態も良かったため、歩きにくいという程ではない。山あり川あり滝ありと、なかなかに見飽きない景色で歩いていて楽しい。ロックガーデンの出口付近の休憩ポイントで引き返す。

※ ロックガーデン:さまざまな奇岩などが楽しめる、御岳山で一番人気の風光明媚なハイキングコース。

ロックガーデン
川沿いのハイキングは気持ちが良い

昼から野外で飲む酒はおいしい!

 次は「長尾平」を目指す。長尾平までの途中、休憩所があった。ちょうど昼食の時間帯だったが、設置されていたテーブルがタイミングよく空いたので確保。眺めは抜群。木陰となっており昼から野外で飲むにはベストポジション!

 各々が持ち寄ったおつまみや調理器具を広げて、昼食の準備に入る。

炙りチキンソーセージ燻製

 定番の袋ラーメンや焼き鳥缶詰などが並ぶ中、僕が持ち込んだのは昨晩作ったチキンソーセージ燻製。これを適当な大きさに切り、同行者が持ち込んだチタン鍋で炙ると、一気に燻製の香りが広がった。

炙りチキンソーセージ燻製
炙りチキンソーセージ燻製

白鶴 大吟醸生貯蔵酒

 山登りということでできるだけ荷物を軽くしたく、合わせるお酒は、瓶入りではなく缶入りの日本酒をチョイス。近頃はコンビニエンスストアでも売っているのでそちらで求めても良かったが、たまたま行きつけのスーパーに売っていたので、今回は「白鶴 大吟醸生貯蔵酒(ボトル缶)」を持ち込んだ。

ボトル缶
白鶴大吟醸生貯蔵酒(ボトル缶)

乾杯

 ボトルの表示を見てみると、日本酒度は-1と中口からやや甘口の度数なのだが、飲み口はむしろキレがあって淡麗。最後の余韻だけ、舌に甘みが残る。

 炙った燻製チキンソーセージをがぶりとやって、保冷剤効果で雪冷え状態の酒で流し込む。

 吟醸酒と言う割に香りは弱いが、味わいはフルーティという、不思議なスペックの一本だ。こうなると香りが弱いぶん淡泊で癖のない味に、燻香が漂う燻製チキンソーセージには非常にマッチする。

乾杯
乾杯!

レジャーで呑む酒もまた格別

 花見にバーベキューと、外で呑む酒は屋内で呑むのとはまた違った趣がある。最近は白鶴の缶入り日本酒のように、持ち歩きしやすくおいしい日本酒が手軽に手に入る。アウトドアにも、ビールだけでなく缶入り日本酒を持ち込んでみてほしい。

澤乃井園
帰りに「澤乃井園 清流ガーデン」でまた飲んだ

参考:澤乃井園 清瀧ガーデン(http://www.sawanoi-sake.com/service/sawanoien

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