【日本酒入門】呑みながら身に付く! ラベルからひもとく日本酒 〜その1〜

 「さ〜て、今夜は日本酒でも飲んでみようかな」と、入ったお店でメニューを見て、何を頼めばいいのか困ったことはありませんか? 日本酒が好きな方への贈り物を買いに入ったお店で、ずらっと並ぶ日本酒の瓶を前に迷ったことはありませんか? そのような方に、“日本酒の種類と選び方のコツ”をお話ししたいと思います。

 コツをつかんでおけば、自分の好みにあうお酒を選べますし、日本酒初心者の方と食事に行ったときには、スマートにオーダできたりして、ちょっぴり株をあげられますよ。

グラスやお猪口、酒瓶を手にしながら

 日本酒の基礎知識をいちから地道に覚えようとすると、初心者の方は、飽きと難しさで続かなくなってしまいます。日本酒の世界への第一歩は気楽に、いま呑んでいる日本酒の「ラベル」で、その日本酒がどんなお酒か、どんな風にして造られたものかを知ってみるのがおすすめ。ラベルを見ながら呑んでいくうちに、日本酒の基礎知識が身に付いてしまいますよ。

 いちどにたくさんの情報はお酒の肴にもなりませんので、数回にわけて連載していきます。酒瓶とともに、グラスを手に取って、ぜひゆるりとご覧ください。

日本酒の入ったグラスを片手に、目の前には日本酒の瓶

「ラベル」は日本酒のプロフィール

 例えば、SNSなどで知らない人から友達申請やメッセージがきたとき、「この人ってどんな人?」と、まずはその人のプロフィールのページを見に行く場合がありますよね。そこには、写真や自己紹介文が載っているので、

 「あ、あのときに一緒に呑んだ人だ!」

 「えっ? もう30年も会っていない同級生!」

 と、相手のことがわかったりします。

 同じように、いま呑んでいるお酒にもプロフィール情報があります。それが酒瓶の「ラベル」です。ラベルには表ラベル、裏ラベル、紙ラベルがなくて瓶に直接印刷されているもの……と、いろいろあります。そして、このラベルに必ず記載すべき事柄が、酒類業組合法※1という法律で決まっています。

 日本酒の記載必要事項のうち、表ラベルには、下記のような項目が記載されています。

① 「清酒」または「日本酒」という文字
② アルコール度数 →「16度」など
③ 原材料名 →「米(国産)、米こうじ(国産米)」など
④ 精米歩合 →「50%」など
⑤ 容量 →「720mℓ」など
⑥ 製造者名、住所 →「○○酒造株式会社」など
⑦ 特定名称 →「純米大吟醸、吟醸、純米」など
⑧ 注意事項 →「お酒は20歳になってから」など
⑨ 製造時期 →日本酒が造られた(瓶詰めされ出荷可能となった)時期

 実はこれだけでも、そのお酒のある程度のアウトラインが分かるのです。

 精米歩合や特定名称についての詳細は次回以降に譲るとして、今回は大まかな分類となる、「純米酒」と「醸造アルコール入りのお酒(俗に“アル添酒”と呼ばれている)」の見極めから解説していきましょう。

※1 酒類業組合法:「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律」の略称で、酒税の保全と酒類業界の安定のため、酒税の確保と取引の安定をはかることを目的とする法律。清酒の製法品質表示基準はこの法律に基づいて定められている。
(記載事項について詳しく知りたい方はコチラ)
→「酒類業組合法上の表示義務事項」(https://www.nta.go.jp/taxes/sake/qa/11/pdf/012.pdf

表ラベルの表記例
表ラベルの表記例

「純米酒」と「醸造アルコール入りのお酒」の見分け方

 日本酒初心者の方は、「純米酒や大吟醸とか、本醸造とか意味がわからないです」と、よくおっしゃいます。確かに、ややこしいですよね……。ですから、まずは純米酒かそうではないかの2種類に分けられることだけ、覚えておきましょう。

見分け方

 純米酒かどうかの見極めは簡単です。ラベルのどこかに「純米」とかかれています。「純米」とだけ表記されている場合もあれば、「純米大吟醸」「純米生原酒」というように他の名称をともなっているものもありますが、「純米」という名があれば純米酒です。

 次に、「原材料名」の項目に注目です。アルコール添加のあるお酒の場合、こちらには「米(国産)、米こうじ(国産米)、醸造アルコール」のように、「醸造アルコール」という文字が入っています。

 日本酒をウリにしている飲食店では、気を利かせて頼んだ日本酒のボトルを少しのあいだ手元に置いてくれるところがあります。そうでないところでも、激混みで迷惑がかからないような状態であれば、「ラベルを見たいので、ボトルを持ってきてください」とお願いしてみるといいですね。

木曽三川のラベル写真
アルコール添加のあるお酒のラベル例

醸造アルコール添加酒は身体に悪い?

 日本酒の詳しい定義は長くなるので、今回は省略しますが、日本酒の原料は主に「米・麹(こうじ)・水」※2であることはご存じだと思います。これらを使って、醸(かも)し、濾した(=絞った)ものが日本酒ですね。そして、絞る少し前の状態の醪(もろみ)に、醸造アルコールを添加することがあります。これは製造コストを低くおさえる(ひいてはお酒の販売価格もおさえる)ことができるという理由だけでなく、アルコール度数をコントロールして、良い品質状態の醪(もろみ)にすることができるということも大きな理由のひとつです。

 「アルコール添加されているお酒は、呑むと悪酔いする」と言っているのを時々耳にしますが、果たしてそうでしょうか? 

 これは私見ですが、アルコール添加のお酒は一般的に芳香が良く立ち、飲み口がとてもスッキリとしているので、ついつい飲み過ぎてしまい、いつもより酔ってしまうからではないでしょうか? 私の場合は、「今日はちょっと疲れ気味でなんとなく、さらっとしたお酒が呑みたいな」と思うときには、自然とアルコール添加のお酒を選んでいることが多いです。

 また、不純物が混ざっているようなイメージでとらえている人もいますが、添加に使われるアルコールは決して化学合成で作られたものではなく、植物由来です。一部の酒蔵では、添加用のアルコールを自家で製造しているところもあります。

 年配の方の中には、戦後の米不足のときに横行した粗悪な三倍増醸清酒※3に嫌な思い出があり、それが今日の「アル添酒※4」のイメージに影響しているかもしれません。

 「うちでは純米酒だけしか造っていません」というところもあります。また逆に、おいしさの追求から、鑑評会出品のお酒は「アル添酒」とするところもあります。蔵によってそれぞれ持っている「考え方」や「思い」があるのでしょうね。

※2 「日本酒について」がわかる漫画はコチラ: https://one-sake.com/know/nihonshugakuen01/

※3 三倍増醸清酒:お米の発酵でできたアルコールの2倍近い醸造アルコールや糖類が入った日本酒。酒税法によって、現在は日本酒(清酒)として流通していない。

※4 アル添酒:醸造アルコール添加酒の俗称。

日本酒ボトルが並んでいる写真

これは純米酒?

武陵桃源のラベル
これは純米酒?

 では今回の復習です。画像のお酒、これは純米酒でしょうか? ここまで読んできたみなさんには、あまりにも簡単でしょうか。

 実際に、呑んでいるお酒の瓶や、店頭の瓶のラベルなども見て、チェックしてみてくださいね。

 次回は、「大吟醸、吟醸、本醸造」など、精米歩合(せいまいぶあい)※5によるお酒の名称・種別についてお話しします。

※5 精米歩合:お酒をつくるために適したお米(酒造好適米といいます)を、どのくらい精米したかの割合。元の玄米の状態から残っている部分の割合を%で表する。

参考:日本酒のさらに詳しい基礎知識は、一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーション( https://www.j-sake.com/ )が主催する「サケ・アカデミー」で学ぶこともできる。

【ラベル例でとりあげた銘柄】
・「千代の亀 橙」千代の亀酒造(愛媛)http://www.chiyonokame.com/

千代の亀 橙

・「木曽三川 本醸造生貯蔵酒」(愛知)https://www.naitojouzou.com/

本醸造生貯蔵酒

・「木曽三川 武陵桃源」(愛知)https://www.naitojouzou.com/

武陵桃源

関連キーワード
日本酒を知る, PRの関連記事
  • 消費者目線で飲み比べ! 「獺祭ストア」で出会った本当の「獺祭」の魅力
  • 新潟の日本酒の魅力! 沁み入る美味しさはどこからやってきたのか
  • 今、一般的に人気のある日本酒の酒質や、すぐに完売する銘柄は何?
  • 【連載マンガ】にほん酒学園! 〜日本酒とは〜 第1話
  • 【連載マンガ】にほん酒学園! 〜日本酒とは〜 第2話
  • 世界7か国(G7)の首脳が味わった日本酒、三重県の「瀧自慢」

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事
中国のベニス!? 蘇州の人々と日本酒
海外と日本酒
 多少の心配ごとは、美しい景色と良い時間が癒してくれる。仕事を終えた人々が、日ごろの悩みを忘れて料理やお酒を楽しんでいる光景は、日本の居酒屋...