今、一般的に人気のある日本酒の酒質や、すぐに完売する銘柄は何?

 日本で「日本酒」という呼び方が定着したのは1964年東京オリンピックの頃と言われています。時代背景や食文化の変遷とともに、一般的に人気のある主な酒質は「超辛口・超濃醇」、逆に「淡麗・辛口」など、進化してきています。では、2020年に東京オリンピックを控えた今、どんな日本酒の酒質が人気なのでしょうか?

 春は、生まれたてのみずみずしい潤いが弾ける新酒で乾杯。夏は、気品ある吟醸香をまとったエレガントな純米大吟醸を冷やしてホームパーティー。秋は、熟れた味幅の冷やおろしを人肌にあたためて月見酒。冬は、熟成された日本酒をチビチビ嗜みつつ映画鑑賞など......。

 四季折々の日本酒のおかげで、ライフスタイルそのものが豊かになってきているように感じます。

新政とフレンチのペアリング
新政とフレンチのペアリング 酒食ライフスタイルの多様化

日本酒の酒質を知る

 シーンを問わず豊かな味わいを醸す日本酒。その酒質や味のタイプを知ることで、楽しみ方がぐっと広がります。

 JSA(一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーション)によりますと、酒質の要素である香りと味わいは4タイプに分類されています。

(1)フルーティータイプ
 香りは華やか、果物や花を思わせる。味わいはジューシーで甘みがあり、透明感にあふれる。主に大吟醸、吟醸系など。

(2)軽快タイプ
 香りは穏やか 味わいは軽快でサラリとした口当たり。主に本醸造、火入れタイプ。

(3)旨口タイプ
 香りは原材料の米に由来。乳製品のような。味わいは米の旨味にあふれ、ふくよかな味わい。主に純米酒、生酛、山廃もとの酒など。

(4)熟成タイプ
 香りはナッツやドライフルーツを思わせる濃醇な香り。味わいはコクと深みがあり、練れた味。軽い粘性も 主に熟成期間を長くとった酒など。

出典元:一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーション(JSA)認定講座テキスト

4タイプの酒質
日本各地のさまざまな酒質の銘酒

日本酒を扱うプロにきいた注目の「酒質」と「銘柄」

 そこで実際に、関東エリアに店舗を構え、日本酒を作り手から飲み手に繋いでいらっしゃる、第一線で活躍中の酒販店3社に、今押さえておきたい「酒質」と「銘柄」のトレンドについてお伺いしました。

 A社:「20代から40代の若い世代、日本酒ビギナーの方々には、香りはフルーティーで甘みと酸のあるタイプに人気が集中しています。一方で辛口の人気もまだ根強くあります。そんな中、『十四代(山形)』、『磯自慢(静岡)』、『飛露喜(福島)』、『田酒(青森)』、『而今(三重)』などの実力・知名度共に高く、流通が安定している日本酒は完売になるのが早いです。又、蔵元自らが日本酒の原材料である米作りから取り組んでいる『いづみ橋(神奈川)』、『新政(秋田)』、『山形正宗(山形)』、『醸し人九平次(愛知)』などを選ぶ方々も増えてきました。飲み手が蔵の姿勢や取り組みにも共感していらっしゃるように感じています」

 B社:「甘口でありつつ、酸とのバランスが良いタイプが人気です。また、お食事とあわせやすく、全体的に旨味のバランスのととのったアルコール度数もやさしいタイプにも人気が集まっています。さまざまな銘柄に食中酒対応のラインはあると思いますが、特に『伯楽星(宮城)』、『雨後の月(広島)』、『澤屋まつもと(京都)』などでしょうか。とにかく美味しい日本酒が増えてきたので、自分の好みにあわせて選ばれているように感じます。ひと昔前のように一つの銘柄に人気が集まり、すぐに完売することはなくなりました。ただ、今も昔も変わらず、すぐに売れてしまう『十四代(山形)』は別格です」

 C社:「ここ10年間ほどは、甘酸っぱくジューシーな旨味タイプが人気傾向です。特に酸による味わいの構成が求められています。即完売する銘柄は、『而今(三重)』、『新政(秋田)』、『飛露喜(福島)』、『黒龍(福井)』、『田酒(青森)』などです。又、食事とのペアリングを意識したピンポイントでの役割を追求する日本酒も注目されています。蔵自体で無農薬無肥料農法米に取り組んでいる仁井田本家(福島)、ナチュール系支持派やペアリング目的のソムリエから絶大な人気を博す寺田本家(千葉)など、個性的な蔵元のステージも確立されつつあります」

 結果、今一般的に人気がある日本酒は「甘さと酸のバランスの良いジューシーな酒質」だということが、リアルに共通していることが分かりました。もちろんこの酒質の人気傾向がすべてではなく、バラエティー豊かな酒質の日本酒は毎年、個性を進化させて誕生し、国内外のグルメたちや日本酒ファンたちを虜にしています。

十四代と土瓶蒸し
山形にて十四代と土瓶蒸し

素敵な日本酒ライフスタイルの幕開け

 日本全国に美味しい日本酒があり、多くのファンに、王道の地位を築いている著名な銘柄が安定して求められている中、各蔵の取り組みによる酒質への挑戦や、個性蔵のペアリング目的による酒質改革、自然派志向などがあり、一層、酒質に磨きがかかっているということですね

 これからまだまだ進化する日本酒を、日々の生活の中でどう楽しんでいくのか可能性も広がります。

 友人知人から、「日本酒をあまり飲まないから何を買ったらいいのか分からない」とよく相談されます。

 例えば、酒販店やデパートなどで日本酒を購入する際に「甘さと酸のバランスの良いジューシーな酒質の日本酒はありますか?」という質問から始めてみませんか? きっとお店の方は、様々な県のたくさんの銘柄を紹介してくださるでしょう。しかも会話をしながら日本酒を購入することで、その日本酒への愛着もわくでしょう。

 ラベルが読めなくても、銘柄を知らなくても、気軽にまずは手に取って、舌で感じてみませんか? 美味しい日本酒に出逢うと、他の美味しい日本酒にも挑戦したくなるはずです。

 あなただけの素敵な日本酒ライフスタイルの幕開けとなることを心から願っています。

日本酒を持つ女性 黒龍
主宰する「ぽん女会」にて黒龍を持つ

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