【特別連載】蔵の構想が完成! 歴史上初めてパリに創る酒蔵、いよいよ着工 (第2回)

 日本酒ベンチャーWAKAZEは、歴史上初の試みである「パリでの酒蔵設立」に向けて準備中です。今回は、今年1月に開始した物件探しから、4月に蔵の設計が完了するまでの奮闘記を、現在進行形でお伝えします。

<前回の記事> 
https://one-sake.com/overseas/wakaze01/

単身でパリに乗り込む!

 私は2019年1月に、単身でパリへ渡りました。「Saint-Germain-des-Prés(サン・ジェルマン・デ・プレ)」というパリ中心部のエリアにあるアパートを借りて、蔵の設立に向けて毎日奔走しています。

 セーヌ川に近く、少し足をのばせばルーヴル美術館、という観光には打ってつけの場所。そんな、世界中の誰もが憧れるロマンチックな場所に住んでいるのですが、残念ながら観光をする時間は、週末でさえもまったくない……。パリにいるのに、なんとももったいない状態です(笑)

ルーヴル美術館前のピラミッド
パリの定番観光スポット・ルーヴル美術館前のピラミッド

物件探しでは大苦戦

 1月にパリへ移り住んですぐに始めたのは、酒蔵を建てるための物件探し。当初は「1か月もあれば見つかるだろう」と、たかをくくっていました。

 ところがこの数か月、本当に大苦戦したのです。ここでは書くことができないような問題が発生してしまって、契約する予定だった物件との話が破談になりました。日本でも物件交渉はしたことがあるのですが、フランスの商習慣は日本とは全く違います! フランスはとにかく契約社会なので、すべて弁護士を介して交渉が行われます。裏を返せば、それだけリスクがあるということ。信頼関係のもとで成り立っている日本のビジネスとは違って、ここでは特に口頭での約束などは一切信じてはいけないのだと痛感されられました。

 実際に、日本人がパリで飲食店を立ち上げることは結構多いのですが、彼らからもさまざまな苦労話を聞きます。さらに、酒蔵の物件探しにいたっては前人未到。誰もやったことがない、前例ゼロの領域です。誰かにアドバイスを求めることさえもできず、ただただ毎日どうやって物件を見つけるかに頭を悩ませました。

 大きな声では言えないのですが、この時期を自暴自棄にならずに乗り越えられたのは、フランスのおいしいワインのおかげだったと思います(笑)。おいしいワインを飲んで寝て忘れて、またトライする。日本とパリを行ったり来たりする目まぐるしい日々の中で、30軒もの物件をまわって必死に探し、ようやく契約までこぎつけられたのは4月に入ってから。物件を探すだけで、3か月以上も経過していました。

物件
30軒の物件をまわる中で見つけた建物のひとつ

心強い味方! 杜氏の今井がパリに来訪!

 物件が見つかり、やっと春が訪れてほっとしていた頃、日本のWAKAZE三軒茶屋醸造所で酒造りの責任者(杜氏)として腕を振るう今井翔也が、蔵の設計のために1週間合流してくれました! 今井は、パリの酒蔵でも杜氏を務める予定の「酒造りのエキスパート」。彼の合流のおかげで、以前よりも仕事へのモチベーションが高まった気がします。

 蔵の設計以外にも、パリで爆発的に増加しているクラフトビール醸造所を訪問したり、はやりのお店でお酒を楽しみながら、5年も前から一緒に夢見ていた「パリというマーケットの可能性」をふたりで噛みしめる良い機会になりました。ワクワクする思いでいっぱいになりながら、夜はパリの街を堪能し、おいしい食事とともに楽しいお酒を何度も酌み交わす、かけがえのないひととき。それまで焦燥感や孤独感を強く感じながら、パリで孤軍奮闘していた自分にとっては、本当に心強い支えになりました。

パリで合流した杜氏の今井
パリで合流した杜氏の今井

設計士チームと連携して蔵を設計

 パリの優秀な設計士チームと、毎日図面をにらめっこ。何度も物件に足を運んで現場を確かめながら、設計の詳細を詰めていきました。

 
 麹室の場所や、洗米・蒸米・放冷からタンクに蒸したお米を引き込むまでの、導線の設計はとても大変。一方で、できあがった蔵をイメージしながら進められるため、心が躍るプロセスでもありました。

 もちろん、不動産会社や大家さん、そして設備業者などはフランス人なので、当然コミュニケーションはフランス語です。学生時代にパリへ留学した際に培ったフランス語を使ってはいるものの、特に設計・施工や設備に関わる単語は非常に難しい! 意思疎通に苦労しながらも、なんとかプロジェクトを前に進めています。

 また、時には設計士に的確な指摘をしながら、どんどん図面の改善をうながす杜氏の今井はとても頼もしく、最高のチームで仕事ができています。蔵には、テイスティングルームを併設して、来訪者がその場で酒を楽しめるようにする予定です。

設計が完了した蔵の完成イメージ
設計が完了した蔵の完成イメージ。テイスティングルームも併設予定

蔵の設立予定地は、パリ郊外の南エリア

 物件のある場所は、「GREATER PARIS(広域パリ)」の郊外で、「VAL DE MARNE(ヴァル・ド・マルヌ)」といわれる南側のエリアに位置しています。とても閑静できれいな街並のこのエリアには、満開の桜が楽しめる「ソー公園」という広大な公園があります。日本よりも少し遅く満開を迎えた桜を、私も「ソー公園」で満喫することができました!

物件の近くにある公園
物件の近くにある「ソー公園」で満開の桜を満喫

蔵設立のクラウドファンディングを実施中!

 現在、いよいよ工事が始まるパリの酒蔵設立に向けて、クラウドファンディングを実施中です。すでに支援者数は250名以上、支援額は370万円を超えて(※)、目標額に近づいていますが、ぜひこの連載をご覧の方にもご支援いただけたらうれしく思います!

 リターンには、歴史上初となる《パリで醸した純米酒》や、WAKAZEの十八番(おはこ)である《オーク樽熟成酒》、そして秘密の《隠し酒》など、さまざまなお酒を用意しています!

↓↓↓ 支援はこちらから ↓↓↓
https://www.makuake.com/project/wakaze-paris/

 さて次回の記事では……、工事の進捗やフランスでの酒造りに使う水の話、お米の仕入れの話などをしていきたいと思います。乞うご期待!

 ※2019年5月2日時点

パリでの酒蔵設立のためのクラウドファンディングのページ
パリでの酒蔵設立のためのクラウドファンディングのページ

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  • 【特別連載】食の都・パリで酒蔵を創る! 日本酒ベンチャーWAKAZEの挑戦をリアルタイムに!
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